麻生太郎首相は七日、就任後初めて沖縄県を訪問し、
知事は普天間飛行場移設に関し、日米がロードマップ(行程表)で合意した地点より「もう少し沖合に出して環境に配慮してほしい。県の意見を踏まえて早期に落ち着けてほしい」と要請した。首相は明言を避け、議論は平行線だった。
首相は会談後、普天間飛行場の移設について記者団に「地元の声に十分配慮しつつ、ロードマップに決められた段取りがある。この二つをどう兼ね合わせるかが一番の問題だ」と述べた。
首相は当初、普天間飛行場やキャンプ・シュワブ沿岸部の視察を検討したが見送った。移設進展の見通しが立たない中、基地問題に注目が集まることを避けたとみられる。
知事は会談で、米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)周辺の騒音被害を指摘し、軽減に取り組むよう求めた。併せて(1)那覇空港の新滑走路建設(2)二〇一二年までの開学を目指す沖縄科学技術大学院大学への支援—を要請した。
首相は一月に糸満市で起きた不発弾爆発事故をめぐり、不発弾の探知や処理について「政府できちんと対応したい」と強調。知事は、政府が同県内の被害者対策として国と県の拠出による基金創設を決めたことに謝意を伝えた。首相は豊見城市の被害者宅を見舞った。
これに先立ち、首相は那覇市内の自民党の会合で講演。一部自治体で支給が開始された定額給付金について「神棚に上げて『ありがとう』では駄目だ。使ってください」と呼び掛けた。