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2009年03月08日(日) 00時14分

携帯エコーで検視 精度向上へ警察庁中国新聞

 検視官不足により犯罪見落としの恐れも指摘される検視の精度を高めるため、警察庁は七日までに、山形、栃木、石川、和歌山、徳島の五県警に携帯型の超音波検査装置(エコー)を配備、活用させる方針を決めた。三月中にも運用を始める。

 同庁によると、大分県警が昨年秋に県予算で一台を導入したが、国費では初めて。過去数年間に検視官が現場に臨んだ率が高かった五県を先行させ、効果や実用性を検証した上でほかの都道府県警への配備を検討する。

 犯罪の疑いがある遺体が見つかった場合、検視官は現場で全体を外側から観察したり触ったりして調べる。しかし、体の内部の異常は専門の知識や経験を積んだ検視官でも確認は困難で、医師により死因究明のための解剖が行われるが、解剖率は10%以下にとどまっているのが現状だ。

 このため、携帯可能な軽量型エコーを持ち込んで補助的に使い、検視の精度をより高める。当面は立ち会いの医師の指導のもとで使用し、将来的には検視官も画像を見極められるようにする。

 警察が扱う遺体は年々増加傾向にあり、昨年は十六万体を超えた。同庁は検視官増員などを来年度予算に盛り込んでいるほか、二〇〇七年度から毎年、遺体一千体分のコンピューター断層撮影(CT)検査費用を補助するなど、死因究明体制の強化に取り組んでいる。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200903080085.html