減産など操業縮小に伴う社員の収入目減りに配慮して、日産自動車が今月から全社員に対し副業を認めたことが6日、分かった。三菱自動車の水島製作所(岡山県倉敷市)が独自の判断で一部社員に副業を認めたことはあったが、自動車大手が会社として副業を容認したのは初めて。
副業容認をめぐっては消費不振の影響で、自動車と同様に業績が悪化している東芝をはじめ電機業界が先行。雇用維持のため仕事を分け合い賃金の引き下げにつながる「ワークシェアリング」導入に踏み切る企業が急増していることもあり、今回の日産の判断で、副業禁止の社内規則見直しの動きが加速しそうだ。
日産は今月も新車販売不振を受けて前年比5割程度の減産を実施。職場によって異なるが、賃金を最大2割カットする休業日を数日間設けている。副業は休業日に限り8時間以内で認め、業務内容を会社に届けるよう義務付ける。就業規則では副業は原則禁止だが、幹部は「緊急的な措置」と説明している。
自動車業界以外では、東芝や富士通の半導体子会社のほか、日本航空も休職期間中の社員の副業を基本的に認めている。
日産は副業とは別に、教育や結婚などに必要な資金が確保できなくなった社員を対象に、提携先の銀行が低利融資する制度を4月から始め、支援策を拡充する方針。