清水市代女流王将(40)が前人未到の女流名人位通算10期目を達成した。5番勝負の第5局が5日、東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われ、挑戦者で後手の清水が矢内理絵子女流名人(女王、29)を106手で撃破。2005年度に矢内に奪取されて以来4年ぶりの復位で、40歳1か月でのタイトル奪取は、斎田晴子女流4段の39歳11か月を更新する最年長記録となる。
勝利に喜ぶ清水の笑顔に鮮やかなブルーのスカーフが映えた。「途中ちょっと自信がない局面もあったのですが…。全体的に自分らしい将棋が指せたので良かったです」と、満足そうに振り返った。
序盤から攻め続けた。後手番で得意にしている右四間飛車で展開。細い攻めをうまくつなぎ、矢内に攻められる場面もあったが、落ち着いていた。「66手目△5八桂成から、持ち時間を使い果たして68手目△5六歩と終盤に踏み込む力が素晴らしい」と立会人の青野照市9段は清水の強さを話す。
史上初の通算10期目に輝き“ダブル”クイーン名人に。「初めてということで、自分にとって励みになるし、応援してくださった方に感謝の気持ちでいっぱいです」と声を弾ませた。初めて名人位を獲得したのは、87年度で19歳のとき。それから21年。常にトップの座をキープし続けて遂げた快挙だ。
40歳1か月の最年長タイトル奪取記録の“おまけ”もついた。プロテニスプレーヤーのクルム伊達公子や女優の天海祐希ら同じ“アラフォー世代”の活躍に刺激を受け、いつも探求心を忘れない。「最年長記録? 一つの記録として誰かの励みになればうれしいですね。年齢とともに、タイトルもたくさん重ねていきたいです」とキッパリ。これからも挑戦は続く。
◆清水 市代(しみず・いちよ)1969年1月9日、東京・東村山市出身。師匠は故・高柳敏夫名誉9段。1985年、16歳でプロに。87年度の女流名人戦で初タイトルを獲得して以来、女流名人位10、女流王将8、女流王位13、倉敷藤花10の合計41期は最多。
日本将棋連盟・米長邦雄会長「5番すべてが両者の持ち味を生かした見応えある勝負だった。清水さんは最年長記録というと失礼だが、まだまだ頑張ってほしい。矢内さんは、まだ女王だし、ファン層も違う。里見さんも加えた3世代の争いは女流棋界の大きな財産です」
(2009年3月6日06時01分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090306-OHT1T00051.htm