民主党は教祖様の言うとおり—。公設第1秘書が逮捕された民主党の小沢一郎代表(66)が「潔白」を訴えたことを受け、同党の菅直人代表代行(62)は5日、定例会見で「納得できる説明だった」などと強調した。ほかの幹部らも「代表を信じる」などと口をそろえているが、これに与党内からは「違和感を感じる。新興宗教みたいな世界だ」と揶揄(やゆ)する声が上がっている。
小沢代表の秘書逮捕を受けた民主党幹部の対応について5日、自民党の脇雅史参院国対副委員長は「新興宗教みたいな世界だ。『信じている。教祖様の言うとおり。何でもいいんです』では、公党の幹部として政治の説明責任を果たしたことにならない」と皮肉った。
小沢氏は、4日の会見で「法にのっとって処理している」「(秘書の)起訴はないと思っている」などと違法性を否定。さらに総選挙が取りざたされる中での強制捜査を「不公正な権力の行使」として、検察側を批判した。
すると党内では小沢氏を「信じる」という発言が続発。菅代行も5日の定例会見で「説明は納得のできるものだった」と強調した。検察批判についても「なぜ、こんな時期にという思いは私にもある」と援護。その一方で「秘書が起訴された場合(小沢氏の辞任を求めなかった)党役員の責任は?」との質問には、予測を言う立場にない」などと明言を避けた。
菅氏はこれまで、自民党に「政治とカネ」の問題が浮上した際は、強い姿勢で追及してきた。自殺した松岡利勝元農水相に「ナントカ還元水」の光熱水費問題が浮上したときは「証人喚問を要求し、場合によっては刑事告発も検討すべき」と表明。「国民が納得できる説明ができないなら、閣僚として不適任だ」と批判した。
ところが身内の小沢氏に対しては、その舌ぽうも沈黙。小沢氏の会見では、逮捕容疑だけで2100万円もの高額の献金を受けた経緯など詳しい説明はなく、多くの疑問が残ったままだ。
党首の責任を問う声が出ない背景を、政治ジャーナリストの山村明義氏は「党内の層が厚くなったとは言え、やはり選挙全体を取り仕切れる代表は、小沢氏しかいないという考えがあるからだろう」と分析する。
秘書の拘置期限は延長されれば24日まで。執行部の思惑とは逆に、起訴となれば小沢氏の辞任論が再燃するのは、間違いない。小沢氏と2ショットのポスターを撮影した候補者の間では「(ポスターを張るかどうかについて)相当、動揺が広がっている」という。山村氏は、今後民主党が「政権担当能力」を保持できるかは疑問で「秘書が起訴されたり、捜査の手が小沢氏本人に近づいた時点で、何らかの声を上げようと考えている人は複数いる」と指摘した。
(2009年3月6日06時01分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090306-OHT1T00072.htm