駐車トラブルから通行人の男性を殴りけがをさせたとして、傷害罪に問われた熊本市の会社員小場佐礼治被告(36)に対し、熊本地裁は6日、「客観的裏付けがないまま捜査がなされ、被害者の供述には信用性がない」として無罪(求刑罰金10万円)を言い渡した。
野島秀夫裁判長は判決理由で「相手の男性も小場佐被告に暴力を振るったことが認められ、正当防衛だった可能性も否定できない」と述べ、小場佐被告に「長期間事件にかかわり、ご苦労だったと思います」と言葉を掛けた。
小場佐被告は2005年4月15日、店先に止めたトラックの駐車方法をめぐって男性と口論になり、付近の駐車場で相手の顔を平手で殴り、8日間のけがをさせたとして起訴された。
弁護側は小場佐被告が男性を殴ったことは認めた上で「先に暴力を振るったのは男性の方で、正当防衛に当たる。警察に引き渡すため男性を取り押さえる際の出来事で、傷害罪にはならない」と主張していた。
小場佐被告は07年12月に熊本簡裁に略式起訴されたが、弁護側が不服として公判手続きを求め、同簡裁が08年4月に熊本地裁に移送を決定した。