【マニラ5日共同】フィリピンのマニラ首都圏の複数の両替店に、昨年から精巧な偽1万円札が多数持ち込まれていることが5日、分かった。フィリピン警察当局者が明らかにした。偽札の流通がフィリピン国外に拡大する可能性もあり、日本の警察も情報収集に乗り出している。
地元警察などによると、精巧な偽札の被害は今年2月に判明、昨年後半から複数の両替店に持ち込まれていた。透かしや特殊印刷が施され、一見して本物と見分けがつかない。高機能の設備を使い、大量に印刷された可能性が高いという。
流通ルートや規模は不明だが、警察当局者は「少なくとも数十枚は見つかっている」と説明、さらに被害がないか調べを進めるとしている。
今回の偽札は、2004年から発行されている新たな偽造防止技術を施した1万円札を模倣。一部は本物と大きさが1−2ミリ異なるが、紙質は似通っている。福沢諭吉像の透かしのほか、マイクロ文字と呼ばれる細かな印刷も再現され、「記番号」はアルファベットがいずれも同一だが、数字は異なっていたという。
一方、本物では札の端部分に入っている縦棒の透かしがぼやけ、角度によって色や模様が変わる「ホログラム」の部分も、本物と比べて図柄が不鮮明といった違いもある。