準大手ゼネコン「西松建設」から違法な企業献金を受け取っていたとして、公設第1秘書が逮捕された民主党の小沢一郎代表(66)に対し、東京地検特捜部では4日、「参考人」として事情聴取する検討を始めた。献金を受けた資金管理団体の代表者である小沢氏に、違法性の認識の有無を確認する狙いとみられる。この日、記者会見で疑惑を全面否定した小沢氏は、代表辞任も一蹴。しかし、党内や永田町ウオッチャーからは「進退問題で決断を迫られるのは必至」との声が上がり始めた。
家宅捜索から秘書の逮捕と迅速に捜査を進める特捜部が、ついに小沢代表からの事情聴取へ踏み出した。
小沢代表側への献金額や献金先は、資金管理団体の「陸山会」側が指定していたことが関係者の話ですでに判明。特捜部は陸山会の会計責任者で公設第1秘書の大久保隆規容疑者(47)が違法性を強く認識していたとみており、陸山会代表者の小沢代表にも違法性の認識の有無を確認する必要性が高いと判断した。同容疑者の監督状況なども聴く方向とみられる。
また、西松建設のダミーとされる新政治問題研究会(新政研)と未来産業研究会(未来研)の両政治団体が、陸山会など小沢代表側の3団体に献金する際、1〜2週間程度の間で5、6回に分散し小口化させていたことが政治資金収支報告書などで分かった。特捜部は西松建設からの献金を目立たないようにする大久保容疑者の配慮だった可能性もあるとみている。
一方で、民主党本部で記者会見を行った小沢氏は「何もやましいところはない」と主張し、捜査が不当であると怒りをあらわにした。
小沢氏は「総選挙が取りざたされる時期に、このような異例の捜査。政治的にも法律的にも不公正な国家権力、検察権力の行使」と検察側を激しく批判。秘書の逮捕についても「近いうちに嫌疑が晴れ、正当性が証明される。おわびする理由は見つからない」とし、謝罪を拒否した。
ただし「私が直接の窓口ではない。秘書を信頼してやるしかない」「献金の出所を聞くのは厚意に対し失礼」などと、逃げともとれる説明も。逮捕容疑だけで2100万円という高額の献金を受けた経緯などについて詳しい説明はなく、多くの疑問が残る形となった。
秘書が逮捕された3日深夜、小沢氏は「おれが駄目というのなら、与野党の国会議員は全員駄目になるぞ」と周囲に検察への怒りをぶちまけたという。
4日朝には、事件を報じるテレビのワイドショーを見ながら、会見での言い回しを検討。周辺の一人は、司法への挑戦姿勢が必ずしも世論の理解を得られないとし「検察批判はなるべく控えてください」と進言した。
そんな周囲の懸念をよそに、検察との全面対決に臨んだ小沢氏。党内からは「秘書が起訴されたら、小沢氏をすぱっと辞めさせないといけない」(党幹部)という声も上がっている。
(2009年3月5日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090305-OHT1T00062.htm