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2009年03月05日(木) 06時02分

小沢氏 次期首相が消えた?!…政治資金規正法違反の疑いで第1秘書逮捕スポーツ報知

 準大手ゼネコン「西松建設」から違法な企業献金を受け取っていたとして、公設第1秘書が逮捕された民主党の小沢一郎代表(66)に対し、東京地検特捜部では4日、「参考人」として事情聴取する検討を始めた。献金を受けた資金管理団体の代表者である小沢氏に、違法性の認識の有無を確認する狙いとみられる。この日、記者会見で疑惑を全面否定した小沢氏は、代表辞任も一蹴。しかし、党内や永田町ウオッチャーからは「進退問題で決断を迫られるのは必至」との声が上がり始めた。

 民主党の政権奪取は夢物語で終わるのか。容疑否定、代表辞任否定、検察批判…。謝罪を拒否し異例の反論会見を敢行した小沢氏。しかし、この強気路線も潔白を証明できたとは言いがたい。政治アナリストの伊藤惇夫氏は「危機管理の面から言っても、現状で持つ情報を全部公開して説明するのが普通」と指摘。「今後の捜査次第では、この会見で小沢氏が窮地に陥る可能性もある。“小沢首相”の芽は消えつつある」と述べた。

 「小沢ショック」は解散・総選挙の時期に影響を与えるのだろうか。ジャーナリストの上杉隆氏は「来年度予算関連法案通過後の4月下旬に解散では」と予想。「今はまだ予算審議中。関連法案が通過した後、麻生首相に最初のチャンスが訪れる」とした。

 一方で、9月の衆院議員任期満了直前まで解散はないとみるのは政治評論家の有馬晴海氏。「選挙を早めれば、それこそ『国策捜査』と批判されかねない。また今回の事件では、自民党の有力議員の名前も取りざたされている」

 「起訴はないと信じています」という小沢氏だが、もし立件されることになれば、進退問題に発展するのは必至だ。「検察の批判までしたのだから、小沢氏にはより細かい説明をする責任があります」と上杉氏。伊藤氏は「東京地検が政局への影響を承知の上で強制捜査に踏み切ったほどだから、かなりの確信があるはず。小沢氏の立場は厳しい。民主党も決断の時を迫られる」と語った。

 仮に小沢氏を失った場合、総選挙での民主党の勝敗は…。有馬氏は「一般的には、小沢氏がトップにいるからこそ、民主党に政権担当能力があるとみられている」と指摘する。一方で「選挙の争点は『政治とカネ』よりも国民生活に直結する景気対策なのでは」(上杉氏)、「国民の間で『政権交代』への欲求は衰えていない」(伊藤氏)など「民主有利」が一気に消えるとの見方には否定的な意見が多い。

 今回の事態に自民党側は「神風が吹いた」と歓迎ムード。「内閣支持率は上がらないかもしれないが、『党首力』で小沢氏支持は確実に落ちるはずだ。党内の空気も変わるのでは」(麻生派中堅)と首相周辺にも余裕が出始めた。

 「党内では『敵失に浮かれるな』という声があり、『麻生降ろし』も収まりつつある。これで麻生さんは雑音に惑わされずに、念願だった衆院解散・総選挙を自らの手で打てると喜んでいることでしょう」(伊藤氏)。

(2009年3月5日06時02分  スポーツ報知)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090305-OHT1T00061.htm