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2009年03月05日(木) 22時52分

フェリー苦境の航路 高速道路料金大幅値下げで東京新聞

 高速道路料金が春休み前にも大幅値下げされる見通しとなり、高速バスや鉄道など長距離公共交通網に影響を与えそうだが、とりわけ戦々恐々としているのはフェリー業界だ。燃料費の高騰や不況で貨物が減少する中、フェリー離れが加速するのは必至。名古屋−仙台−苫小牧の定期航路を持つ太平洋フェリー(名古屋市)が3月から減便に踏み切るなど、航路の運休や廃止も目立ち、業界に危機感が強まっている。

 「生き残りをかけた苦肉の策」。太平洋フェリーの岩田裕行常務はそう話す。同社は輸送需要の少ない日曜日の出発便を初めて全面休止することを決め、3月1日から実施。夏休み前の7月中旬にかけ運休する。

 隔日運航だった従来の片道週3−4便から週3便に減るが、1月の輸送量が前年を1割程度下回る中、岩田常務は「減便した方が経営的にプラス」と説明する。

 日本長距離フェリー協会(東京)によると、全国のフェリーの輸送実績は昨年10月から急速に悪化し、ことし1月は前年の約20%減。

 担当者は「不況に加え、すでに始まっている高速料金割引の影響も大きい」と言う。

 太平洋フェリーの日曜運休は一時的措置の予定だった。燃料費は下落に転じているが、昨秋以降の景気悪化や今後の高速料金値下げでフェリー輸送の需要減が見込まれるため、12月以降は再び日曜運休にする方針。

 業界では「高速だけを安くするのは不公平で、環境政策にも矛盾する」との主張から国に支援を求めており、国土交通省は「フェリーの港湾使用料の引き下げを自治体と協議している」(海事局内航課)と話している。

 高速料金の値下げは関東、関西の大都市圏以外の高速道路で平日の全時間帯を3割引き(昼間は100キロ分まで適用)にしたり、土日祝日に普通車以下を対象に上限料金を1000円としたりする内容。財源となる2008年度第2次補正予算関連法は4日の衆院本会議で成立した。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009030590192829.html