三重県伊勢市の皇学館高校1年の男子生徒(16)が学校でいじめを受けていたという内容の遺書を残し、自宅で自ら命を絶った。在校生らに衝撃が走る中、5日、報道陣の取材に応じた大島謙校長と中村貴史教頭は「いじめは把握していない」と説明した。
大島校長は「無力感でいっぱい。事実を調べ、もしいじめがあったとしたらきちんと対応したい」と力なく語った。7日に学年末試験が終わってから全校集会を開いて生徒に説明し、同級生らからも話を聞くという。
生徒が残した遺書には「暴言、暴力、嫌がらせが浴びせられ、精神的に嫌になった」などと書かれ、いじめにかかわったとする同級生の男女7人の名前が挙げられていた。遺書とは別に、所属する陸上部の部員や親しかった同級生に、「スパイクをもらってほしい」などお礼の言葉を書き残していた。遺族は「非常に冷静な文章だった」と学校側に話したという。
同級生らによると、生徒はまじめで正義感が強く、無断欠席をしたこともなかった。高校で入った陸上部では将来のエースとして期待され、昨秋の体育祭でもクラス対抗リレーのアンカーとして活躍。成績は入学当初より少し落ちたが、クラスで中くらいだった。
友人の男子生徒は「先月28日に学年末試験の話をしたが、変わった様子はなかった」と振り返る。陸上部の女子生徒は「明るい子だった。試験期間中で顔を合わせていなかったので、理由は分からない」と声を詰まらせた。「校内でいじめがあったとは聞いた事がない。悲しく怖い出来事。学校はみんなに分かるよう早く説明してほしい」と話す生徒もいた。
(中日新聞)