週刊現代の八百長疑惑報道で名誉を傷つけられたとして、日本相撲協会と北の湖前理事長が発行元の講談社側に計1億1000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は5日、「裏付けがなく、誠に不十分な取材で、記事は真実と認められない」とし、講談社側に計1540万円の支払いと記事取り消し広告の掲載を命じた。
名誉棄損訴訟で、1000万円を超える賠償命令は異例。
浜秀樹裁判長は「記事が取り上げたのは、北の湖前理事長の『世紀の一番』とされる著名な取組。読者にセンセーショナルな衝撃を与え、社会的評価を著しく損なった」と指摘。「前理事長本人の取材もせず、記事の内容が真実と信じた理由はない」と判断した。
判決によると、週刊現代2007年3月10日号は、前理事長が現役横綱だった1975年の春場所千秋楽で、当時の大関貴ノ花(故先代二子山親方)に敗れた優勝決定戦は八百長だったなどとする記事を掲載した。
訴訟では昨年10月、前理事長が「相撲界に八百長はない」と証言。
被告の1人で、執筆者のノンフィクションライター武田頼政氏は「貴ノ花の元夫人藤田憲子さんから聞いた」と主張したが、判決は「藤田さんの発言があったかどうかも疑問だ」と退けた。