抜歯した「親知らず」に含まれる細胞に、従来より少ない2つの遺伝子を入れて新型万能細胞「iPS細胞」を作製することに成功したと、岐阜大が5日、都内で開かれた日本再生医療学会で発表した。
慶応大も、ヒトの神経のもとになる細胞から2遺伝子で作製したと発表。導入遺伝子は少ない方がいいと考えられており、人体のあらゆる組織に成長できるiPS細胞の安全性向上につながると期待される。
岐阜大は、親知らずに含まれる歯髄幹細胞ではiPS細胞作製に必要な4遺伝子のうち2遺伝子がもともと働いていることに着目。残り2遺伝子を組み込むと、効率は非常に低いがiPS細胞ができた。
3遺伝子を組み込むと、皮膚細胞からiPS細胞をつくる方法に比べ、作製効率は最大で約40倍になった。通常、親知らずは抜歯後に捨てられるため入手しやすく、研究チームは「iPS細胞の有力な材料になる」としている。
慶応大は、同様の特徴がある胎児の神経幹細胞に2遺伝子を組み込んでiPS細胞を作製した。
神経幹細胞からは、マウス実験で1遺伝子だけでiPS細胞を作製した例が報告されている。