記事登録
2009年03月05日(木) 17時55分

膵臓・腎臓の生体間同時移植成功 愛知の藤田保健衛生大、中部で初東京新聞

 藤田保健衛生大(愛知県豊明市)は5日、難しいと言われる膵臓(すいぞう)と腎臓の生体間同時移植手術に成功した。国内では17例目だが、中部地方では初めて。同大の関係者は「移植を待ち望んでいるこの地域の患者に、希望を与えられた」としている。

 移植を受けたのは、名古屋市内の女性(34)。膵臓の細胞が壊れる重度の糖尿病で、合併症により腎臓も悪化。低血糖で急に意識を失う発作があり、父親(62)が臓器提供を決断した。父親から膵臓半分と左の腎臓を摘出し、女性に移植する手術を4日午前から計15時間かけて実施。手術後の経過は順調だという。

 膵臓と腎臓の同時移植は、重症糖尿病の根治療法と言われる。手術は通常、脳死または心停止した臓器提供者から行うが、条件の合う提供者が現れるケースは少ない。生きている人の間で行うには、臓器提供者と患者の命を同時に維持する必要があり、細い膵管をつなぐなど高い技術が必要となる。

 移植の待機者は全国で約130人いるが、これまでは新潟大、大阪大、千葉東病院でしか手術例がなかった。藤田保健衛生大に昨年、米国で同時移植を学んだ杉谷篤教授が赴任したため、手術が可能になった。星長清隆病院長は「同じ病気に悩む人にとって朗報だ。希望者がいれば、今後、手術数を増やして困っている人を助けたい」と話している。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009030590173037.html