河村建夫官房長官は5日、日本と中国、台湾がそれぞれ領有権を主張している尖閣諸島(中国名・釣魚島)が攻撃された場合、日米安保条約5条の対象になるとの米政府の公式見解を確認したと明らかにした。米政府は従来、同様の見解を示してきたが、オバマ政権では初めて。官邸で記者団に語った。
中国、台湾の反発が予想される。日中両政府が今月下旬に開催する方向で調整している首脳会談で、中国側が尖閣問題を取り上げる可能性もありそうだ。
安保条約5条は「日本の施政下にある領域内で武力攻撃を受けた場合、日米両国が共通の危険に対処するよう行動する」と定めており、日本有事の際に米国に防衛義務が生じることを明確にしている。
河村氏は「尖閣諸島は1972年の沖縄返還の一環として米国から返されて以来、日本の施政権下にあり、日米安保条約5条が適用されることを確認した」と述べた。その上で、米側は尖閣諸島の領有権問題には関与しない中立の立場をあらためて強調し、平和的手段による解決が望ましいとの見解も伝えられたと明らかにした。
米政府はクリントン政権当時の96年、キャンベル国防副次官補が尖閣諸島は安保条約の対象になると明言。2004年のブッシュ政権下でも当時のアーミテージ国務副長官が尖閣諸島への条約適用を確認している。