与謝野馨経済財政担当相は5日の参院予算委員会で、2009年度の実質国内総生産(GDP)をゼロ成長とした政府経済見通しについて「4月に入ったら見直しを始めないといけない」と述べ、近く下方修正する考えを明らかにした。政策目標の意味合いを持つ政府経済見通しをマイナス成長とするのは異例。
当面は深刻な状況が続くと見込まれる景気の先行き見通しを反映させざるを得ないと判断した。政府が悲観的な景気認識を表明することで、麻生太郎首相が来週にも与党に検討を指示する追加経済対策について規模拡大を求める声が出そうだ。
政府が昨年12月に経済見通しを発表した時点では、経済対策の切れ目ない実施によってマイナス成長を回避できると期待していた。しかし、世界的な需要の落ち込みで自動車や電機メーカーなど日本の輸出産業の生産が大幅に減少。民間シンクタンクの多くが09年度の成長率をマイナス4%程度と予想するなど、ゼロ成長の達成は難しくなっている。
与謝野氏は「(現在の政府経済見通しは)昨年12月の最善のデータに基づいているが、あらゆる指標が下向きになっている」と説明した。