名古屋市中村区で2007年12月、乗用車が橋脚に衝突し、後部座席の男性=当時(33)=が死亡した事故は、保険金をだまし取ろうと故意に起こされた疑いが強いことが、愛知県警の調べで分かった。県警は、傷害致死と詐欺の疑いで、男性の勤務先の内装会社社長で事故を指示したとみられる男(34)と、乗用車を運転していた同社作業員の男(33)=いずれも別の詐欺未遂容疑で逮捕=の逮捕状を取った。週内にも逮捕する。
県警交通指導課や中村署によると、死亡事故は同年12月9日未明、中村区塩池町の市道で発生。乗用車がJR東海道新幹線などの橋脚に衝突、後部座席の男性が内臓破裂などで間もなく死亡。乗用車を運転していた作業員にけがはなく、中村署の調べに「一瞬、眠くなった」と話していた。
県警は、事故状況に不審な点があったことや、事故後に支払われた総額約5千万円の保険金の一部を社長と作業員が受け取っていたことから捜査を進めていた。社長らは、軽傷程度の事故を起こし保険金をだまし取ろうと計画したが、男性を死亡させてしまった可能性があるとみている。
2人は昨年9月、別の同僚の男(34)と共謀し、交通事故を偽装して保険金をだまし取ろうとしたとして、詐欺未遂容疑で今年2月に逮捕された。この事故については、作業員は「社長に言われてやった」と容疑を認め、社長は否認している。
(中日新聞)