政府は4日、ソマリア沖など海賊対策で随時自衛隊派遣を可能にする新法「海賊対処法案」(仮称)の骨子をまとめた。警告射撃をしても接近する海賊船への射撃を容認する一方、法解釈上、現場から既に逃走した海賊の追跡は認めない。死刑から懲役3年以下までの罰則も設ける。
骨子は同日、与党のプロジェクトチームで了承された。自民、公明両党は10日に党内手続きを終え、13日にも閣議で決定、国会に提出される見込み。
相手に危害を与える武器使用については、現行法に基づく海上警備行動で認められる正当防衛、緊急避難を基本とする。警告射撃をしても船舶に接近してくる海賊船に対しては、船体射撃も認めた。自衛隊は逮捕権などの司法警察権を持たないため、現場から既に逃走した海賊の追跡や武器使用はできない。海賊被害を抑止することに主眼を置く「抑制的な内容」(公明党幹部)とした。
原則として海上保安庁が対処するが、特別な必要がある場合は首相の承認を得た上で自衛隊が対処すると規定した。