昨年の汚染米不正転売事件をめぐる対応の不手際が問題となった農林水産省が、事件の背景となったミニマムアクセス(最低輸入量)米業務の担当課を傘下に持つ「総合食料局」の廃止を柱とする組織再編の検討に入ったことが3日、明らかになった。
同局では、食品産業の監視と振興という利益が相反する業務を担当。同じ局で担当する態勢が業者との癒着や不正を見逃す背景になったとの反省から、業務を分離することで隔壁をつくる。
総合食料局は生産調整(減反)などコメ政策を含む食料政策全般を担当する、農水省の中核組織で、旧食糧庁が母体。農水省は2010年度の実施を目指し、今夏の概算要求に向け検討を急ぐ。
検討案によると、コメの流通監視業務は消費・安全局が担当し、食品産業の振興、価格安定対策などは新設する「食料産業局」(仮称)が受け持つ。
コメの減反や政府備蓄は生産局に移管。現在、各部局庁でそれぞれ実施している検査業務を切り出し、大臣官房に新設する「検査部」(仮称)に1元化、業務の独立性を確保する。
また業務遂行や危機管理に不備があったことへの批判を踏まえ、外部の有識者らが省全体の政策決定過程を監視する「農林水産政策会議」(仮称)を新設。各部局庁から独立した第三者機関を想定し、内部監査も所掌する。