工作機械メーカー「ホーコス」(広島県福山市)が、核兵器開発に転用可能な工作機械を不正輸出したとされる事件で、警視庁公安部と広島県警の合同捜査本部は4日、外為法違反(無許可輸出)の疑いで同社の元課長代理(51)ら4人を逮捕した。法人としての同社も書類送検する方針で、4日午前、同社会長宅などの捜索を始めた。
4人は2004年と06年、経済産業省が外為法に基づいて定める輸出貿易管理令のリスト規制に該当する工作機械「マシニングセンタ」を輸出する際、性能を低く偽り、経産相の許可なく韓国などに16台を輸出した疑い。
警視庁によると、高性能の工作機械の輸出には経産相の許可が必要だが、社員らは「許可を得る手続きは煩雑で時間がかかる。納期を優先するため性能が低いことにした」と話しており、裏付けを進めていた。
マシニングセンタはミリ単位以下の精密作業が可能で、通常は自動車の部品製造に使用される。ウランを濃縮する遠心分離機の部品製作にも転用可能だが、今回の事件ではイランや北朝鮮など第三国への流出は確認されていない。