広島市南区のアパートで一昨年7月、仕事で訪れた女性=当時(21)=が殺害された事件で、強盗殺人と死体遺棄などの罪に問われた犯行時少年の被告(20)の判決公判が27日、広島地裁であった。奥田哲也裁判長は強盗殺人罪は、「自白調書が信用できない」などと認めず、殺人と窃盗罪を適用し、懲役16年(求刑無期懲役)を言い渡した。
奥田裁判長は「被告人は児童養護施設での辛かった生活を話していた際、被害者に『楽しそうなところじゃね』などと言われ殺害を決意した」と認定。強盗殺人の犯意を認めた捜査段階の自白は「検察官が多少誘導しながら取り調べた結果、被告人が早く切り上げようとしてなされた虚偽のものである疑いが残る」などと指摘、客観的事実からも強盗殺人罪は認定できないとした。その上で「犯行は残忍で被害者遺族の処罰感情が強いのも当然だが、被害者の発言に触発された衝動的犯行。幼少時から施設に預けられるなど同情の余地もある」と述べた。
被告は06年7月7日、女性の首をひもなどで絞め殺害し押し入れに遺棄。現金4万円を盗むなどした。
判決後、被害者遺族や支援団体の代表者らが記者会見。被害者の母(49)は「被告人の話を聞いた娘があまりにかわいそう。少年であろうと、どんな成育歴があろうと人をあやめた人にはきちんとした刑を受けてほしい」と量刑などへの不満を訴えた。