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2009年02月28日(土) 21時48分

最古の明治天皇客車図 鉄道黎明期の一級史料中国新聞

 大阪府の史料研究家東野進ひがしの・すすむさん(59)が所有する明治時代を中心とした鉄道関連の資料から、一八七六(明治九)年に製造された天皇の特別列車「初代1号御料車」(重要文化財、鉄道記念物)の外観や内装を詳細に描いたカラー図面が見つかったことが二十八日、分かった。

 カラー図面とともに見つかった別の設計図には「1876」と記されており、図面も同時期の作製とみられる。JRの研究機関「鉄道総合技術研究所」(東京都国分寺市)によると、同御料車ではこれまで、一八九三(明治二十六)年の簡略な図面が最古とされていた。同研究所は「日本の鉄道黎明れいめい期の第一級史料」としている。

 御料車の図面は縦約九十五センチ、横約百三十センチで側面図や断面図、天皇が座るソファの配置のほか、車体の菊の御紋も描かれていた。

 「STATE CARRIAGE FOR H.I.M. THE TENN OF JAPAN.」(天皇陛下の特別客車)や「BUILT AT KOBE WORKS JAPAN」(神戸工場製)との記述も。図面の作製年は記されていなかった。

 「1876」と書かれていたのは、御料車に使用されたサスペンションの設計図。御料車の図面も車両完成前後に作られたようだ。

 御料車の実物は英国風の内外装に、橘や桜の扉絵など和風の図柄を採用。記録によると、製造の翌年、明治天皇らが京都—神戸間の鉄道開通式の際に乗車した。現在、鉄道博物館(さいたま市)に展示されている。

 同博物館の奥原哲志おくはら・さとし主幹学芸員は「これほど精密で、鮮やかな彩色図面は初めて。当時の御料車の様子が分かる」と話している。

 東野さんは昨年末、明治時代に技師として活躍した服部勤はっとり・いそし氏の子孫が持っていたとされる鉄道関連の図面など約六百三十点を古物商から購入。御料車のほかにも、明治初期の信号機や橋の構造図などが含まれていた。

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【写真説明】1876年に製造された天皇の特別列車「初代1号御料車」の外観や内装を詳細に描いたカラー図面=大阪府寝屋川市

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200902280226.html