学校法人「郁文館夢学園」(東京都文京区)の英語担当教諭が実用英語技能検定(英検)の1次試験の問題を同校の受験生に事前に教えていたことがスポーツ報知の報道で発覚した問題で、日本英語検定協会(東京都新宿区)は27日、週明けにも同校の立ち入り調査を行う方針を示した。「英検がこれまで積み重ねてきた信頼性を大きく損なうものだ」として、実態解明に向け、徹底した調査に乗り出す。また、同校の渡辺美樹理事長(49)がこの日、取材に応じた。
日本英語検定協会によると、この日までに郁文館の受験生のデータ収集を終えた。不自然に合格者が増加していないか、などを精査し、週明けにも調査を行う。
郁文館では、不正にかかわった前校長が辞任し、27日付で渡辺理事長が中、高、グローバル高の校長に就任。28日に保護者説明会を行う。英検協会側は、郁文館の英検担当者のほか、同理事長からも説明を受ける予定という。同協会幹部は「徹底した調査を行いたい」と話している。
英検2〜5級の1次試験は、学校や塾などで10人以上の受験者がいる場合、「準会場」に認定され、その会場数は約2万。約250万人いる全受験者のうち、約210万人がこの「準会場」での受験者だ。英検側は現場の教師を信頼し、会場あてに2日前までに問題を送り、問題の管理を一任してきた経緯がある。
英検が確認できた記録よると、郁文館は少なくとも1985年10月から2004年6月までが「準会場」となっており、2004年10月から英検側が指定する「本会場」に移行。だが、2008年6月になると再び「準会場」となり、同年10月からは「本会場」を使用しているという。
中学、高校からの要望に応え、1964年から始まった「準会場」システムだが、これまで中学や高校などで事前に問題を教えていたケースは確認できておらず、郁文館が初めてのケースになるという。塾の場合は、過去5年で5件の不正を確認。不自然に合格者が増えるなどしていたため、「準会場」の認定を取り消し、合格者を無効にするなどの措置をとったという。
郁文館については、調査が終わり次第、同協会が設置する英検実施倫理委員会の中でこの問題を議題とし、今後の対応を決める方針。
(2009年2月28日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090228-OHT1T00058.htm