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2009年02月28日(土) 20時35分

殺人事件の遺族ら、時効撤廃求め「宙の会」設立読売新聞

 殺人事件の公訴時効撤廃を求める被害者遺族でつくる「殺人事件被害者遺族の会(宙(そら)の会)」が28日、東京・千代田区で設立総会を開いた。署名活動などを通じて、国へ制度改正を要望していく。

 同会の発起人は2000年12月に世田谷区で発生した一家殺害事件の遺族・宮沢良行さん(80)や、1996年9月に葛飾区で起きた上智大生殺害事件の遺族・小林賢二さん(62)ら。16事件の20人が会員になっている。

 小林さんは事件発生から25年と定められている時効の撤廃や、DNA情報など犯人を特定できる証拠がある場合には氏名不詳のまま起訴し、時効停止にする制度の整備を求める設立趣意書を読み上げ、「死が無駄ではなかったと墓前に報告したい」と訴えた。

 同会には、すでに時効を迎えた事件の遺族も参加している。その一人、札幌市の生井澄子さん(72)は90年12月、信金職員だった長女宙恵(みちえ)さんを殺害された。

 高校の後輩がすぐに指名手配されたが、逮捕の知らせが届くことなく、05年12月に当時は15年だった時効が成立。警察のポスターははがされ、指名手配されていた後輩も「男」と報道されるようになり、「遺族の悔しさは変わらないのに、時効は犯人の顔も名前も消してしまう」と耐えられない気持ちになった。

 長女のためにできることを考え続けていたところ、会設立の動きを知り、参加を決めた。「ほかの遺族に同じ思いをさせたくない。制度が変われば、娘の供養にもなる」と生井さんは話した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090228-OYT1T00751.htm