二〇〇九年度予算案が二十七日、衆院を通過し年度内成立が確定した。麻生太郎首相は大規模な追加経済対策と外交で政権浮揚を図り、内閣支持率の動向もにらみながら衆院解散の時期を模索する。ただ自民党内では「麻生首相では衆院選を戦えない」との声が強まっており、予算と関連法案が年度内に成立すれば、四月には一気に退陣論が拡大する可能性もある。早期解散を迫る民主党は衆院での内閣不信任案や参院での問責決議案提出をうかがう構えで、攻防激化は不可避の情勢だ。
〇九年度予算案は、総額八十八兆五千四百八十億円と当初予算ベースで過去最大。一一年度にも消費税率を引き上げる方針を付則に盛り込んだ税制改正法案など関連四法案とともに二十七日夕の衆院本会議で、与党などの賛成多数で可決された。民主、共産、社民三党は反対、国民新党は欠席した。予算案は憲法の規定により、野党が抵抗しても参院送付後三十日で自然成立する。
衆院予算、財務金融、総務の各委員会は本会議に先立ち、予算案と関連四法案を可決。麻生首相は予算委で「経済は水ものだ」と述べ、追加経済対策の策定を示唆した。
定額給付金などの財源を確保する〇八年度第二次補正予算関連法案は三月四日に成立する見通し。首相はこれを受けて経済対策の策定を与党に指示し、同月下旬にも追加経済対策を発表、四月二日のロンドンでの金融サミットに臨む方針。〇九年度予算の前倒し執行や給付金支給により、支持率回復を狙う。
追加経済対策を実施するための〇九年度補正予算案編成も検討。今国会に提出し成立を図る場合、衆院解散は七月のイタリアでの主要国首脳会議や東京都議選後に先送りされる可能性が高まる。
これに対し自民党の武部勤元幹事長は二十七日、記者団に「新しいリーダーによる新しい自民党が喫緊の課題」と述べ、「ポスト麻生」擁立に向け新グループを結成する意向を示唆。党内では金融サミットを「花道」とする退陣論も出ているが、首相には応じる意思はないとされ、せめぎ合いが続きそうだ。