テレビなどで放送される音楽の著作権使用料をめぐり、社団法人「日本音楽著作権協会」(JASRAC、東京都渋谷区)が他業者の新規参入を阻んでいるとして、公正取引委員会は27日、JASRACに対し、独占禁止法違反(私的独占)で排除措置命令を出した。
同日記者会見したJASRACは「事実認定、法令適用とも誤っている」として、審判請求する方針を明らかにした。
JASRACはNHKや民放各局との間で、放送事業収入の1・5%を徴収し、管理楽曲の放送を一括して認める「包括契約」を結んでいる。放送局がJASRAC以外の業者が管理する楽曲を使用すると、新たな負担が生じるため、公取委は「新規事業者の管理する曲が放送でほとんど利用されない状態になっている」と認定した。
公取委の調査の過程では、新規参入した「イーライセンス」(港区)が排除されたケースが発覚した。同社は2006年10月に大手レコード会社から大塚愛さんや倖田來未さんら人気アーティストの一部の曲について管理を委託された。しかし番組などではほとんど流されず、結局、07年1月にレコード会社から放送利用に関する契約を解除された。
音楽著作権管理事業はもともとJASRACが独占していたが、01年に「著作権等管理事業法」が施行されて、新規参入が可能になった。しかし07年度に放送局から徴収した使用料はJASRACの約206億円に対してイーライセンスは数万円にとどまり、事実上の独占状態が続いている。
公取委は来月2日以降、JASRACの管理楽曲と他業者の管理楽曲が実際に放送された比率に応じて、使用料を分配する契約形態を選択できるようにするなど、具体的な改善策を指示する方針。これに対し、JASRACの加藤衛理事長は「包括契約は国際的にも定着している。徹底的に争う」と反発している。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090227-OYT1T00750.htm