世界的な銅版画家だった浜口陽三さん(1909—2000年)が、銅版画に取り組み始めるまでの間に描いた油彩画など13点が千葉県銚子市の浜口さんの実家に保管されていたことを、東京都中央区の美術館「ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション」が27日、明らかにした。
同館によると、作品は05年11月、浜口さんの実家の蔵にあった茶箱から見つかり、3年かけて修復。昨秋、三木哲夫・国立新美術館特任研究員ら研究者4人が浜口作品と確認した。一部の作品は存在が知られていたが、所在は分かっていなかった。
ほとんどが油彩画で、東京美術学校(現東京芸大)在学中の作品「榛名湖」や、銅版画に本格的に取り組む直前の50年代の制作と思われる「2人の裸婦」など。
アルミ板に描いた「2人の裸婦」は、独自の銅版画の技法「メゾチント」に至るまでの試行錯誤がうかがえるという。
三木研究員は「浜口さんが版画と出合って才能を爆発させたのは40歳を過ぎてからで、遅咲き。そこに行き着くまでの迷いの時代の画業を断片的にたどれる珍しい資料。積極的に公開しようという意思はなかったのではないか」と話している。
今回確認された作品はミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションが4月1日から開催する「浜口陽三生誕100年記念展」で展示される。
(2009年2月27日21時46分 スポーツ報知)
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