ソニーは27日、中鉢良治社長(61)が4月1日付で代表権のある副会長に就き、ハワード・ストリンガー会長(67)が社長を兼務するトップ人事を発表した。世界同時不況の中、液晶テレビなど主力のエレクトロニクス事業の不振で業績が悪化、同事業の責任者である中鉢氏の事実上の引責との見方が出ている。人事体制刷新でストリンガー会長へ権限を集中し、経営立て直しを急ぐ。
国内大手メーカーでは、業績が悪化しているトヨタ自動車も社長交代を決定。トップ交代による人心一新や経営責任の明確化で求心力を高め、業績改善を目指す動きが広がりそうだ。
ソニーは、パソコンなどエレクトロニクス事業の一部とゲーム事業の統合を柱とした大規模な組織再編も4月1日付で実施。将来有望なネットワーク対応型の製品、サービスの競争力を強化するのが狙い。
記者会見した中鉢社長は、退任について「新しい事業体制を構築すべきだ」とし、業績が悪化する中で経営陣の若返りの必要性を強調。ストリンガー会長は、若手の副社長らの成長を理由に「もう一つの官僚機構(社長ポスト)を置く必要はない」と社長兼務の妥当性を説明した。
中鉢社長は2005年6月に、ストリンガー会長とともに前経営陣から経営を継承。エレクトロニクス事業の再生を掲げ構造改革を断行し、08年3月期連結決算で売上高、純利益がともに過去最高を更新した。
だが昨年秋以降、世界経済の悪化や円高の直撃を受け業績は急降下し、09年3月期連結営業損益は2600億円の赤字に陥る見通し。営業赤字は14年ぶりで赤字幅は過去最大。純損益は1500億円の赤字を見込む。
巨額赤字計上に伴い、世界全体で1万6000人以上の人員を削減することや、生産拠点の統廃合などを盛り込んだリストラ策を発表している。
(2009年2月27日20時20分 スポーツ報知)
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