将棋の矢内理絵子女流名人(女王、29)と挑戦者・清水市代女流王将(40)の5番勝負第4局が26日、東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われ、先手の矢内が91手で制した。初戦で先勝しながらその後2連敗し、がけっぷち対局となった矢内は、序盤から落ち着いた指し回しで2勝2敗とし“逆王手”。4連覇へ望みをつないだ。清水は前人未到の通算10期目となる女流名人位獲得を最終局にかける。第5局は3月5日、将棋会館で行われる。
平常心だった。もう後がない矢内が、得意戦法の矢倉から確実に駒組みして、清水を退けた。
「とにかく、ふだん通りに、と思って臨みました。最初からそれほど自信をもって指せたわけじゃないけど、途中から攻めがつながったように感じました」。うれしさよりも、ほっとした表情を浮かべた。
第3局は、優勢な形で進めながら、一瞬のスキを清水に抑え込まれた“完封負け”。しかし悔しさをひきずらないのが、今期2冠に輝く矢内の強さだ。清水との通算対戦成績は今回で12勝12敗。ようやく五分に戻したほどだから、絶好調の将棋というわけではない。しかし、精神面でのたくましさは、ぐんぐん成長している。
女流名人になって3期。「名人ということが、だいぶ自分のリズムに組み込まれてきた」と話すように、第一人者としての自覚が定着してきた。第4局の前には地元の埼玉県行田市で確定申告の新システムPRにひと役買った。また、24日には自身初の解説本「振り飛車破り」を出版。将棋の普及のために“盤外”での活動も積極的にこなしている。
土壇場で“逆王手”をかけて、勝負の行方は最終局へ。「はじまる前から清水さんとはフルセット戦うつもりでいたので、その通りになりましたね。いつも通りの将棋ができれば良いと思います」。4連覇に向けて気負いはない。
(2009年2月27日06時02分 スポーツ報知)
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