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2009年02月27日(金) 15時20分

不登校から再挑戦、7人に巣立ちの春…京都・朱雀高校読売新聞

京都府立朱雀高校の卒業式で、皆勤賞の表彰状を受け取る浦野晴生さん=菊政哲也撮影

 京都府立朱雀高校(京都市中京区)で、いじめやゲームへの熱中などで中学時代に不登校になった生徒を対象にした長期欠席者特別入学者選抜で入学した1期生7人が27日、卒業式を迎えた。

 府教委が3年前に西日本で初めて導入した制度といい、生徒らは「再チャレンジ」を形にし、春からは新しい道へ進む。

 府の公立高校の一般入試では中学の成績が評価の半分を占め、欠席の多い生徒は不利になる。府教委は2006年度入試から中学の成績を問わない特別枠を朱雀高など府立高3校で設定した。

 10人が入学した朱雀高では、教諭らで対策チームをつくり、職員会議などでこれらの生徒の様子を報告し、学校全体で見守る環境を整えた。うち3人は2年生に進級せず、通信制高校などに転学。7人は通学し続け、6人は大学を受験、1人は就職の内定を得た。

 龍谷大社会学部に合格した浦野晴生さん(18)。中学時代は同級生にからかわれるなどし、1年生から2年生にかけて約1年間欠席した。高校入学後は吹奏楽部に入り、最初はクラリネットの音が出ず悩んだこともあったが、先輩の指導で1年後にはきれいな音色を響かせた。3年間無遅刻無欠席で通し、卒業式では皆勤賞の表彰状を受け取った。浦野さんは「人間は挫折する時があり、僕はそれが早かっただけだと思う。高校はいろいろな性格の仲間がいて、受け入れてくれた」と振り返った。

 同高の元養護教諭で、定年退職後も非常勤講師を務める佐藤友子さん(62)は「最初は不安そうだったが、『やっていける』と自信をもってからの成長のスピードは速かった。経験を、次の人生を切り開く力にしてほしい」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090227-OYT1T00703.htm