朝日新聞阪神支局襲撃事件など一連の警察庁指定116号事件を巡り、週刊新潮が連載した「実行犯」を名乗る島村征憲氏(65)の手記に対し、朝日新聞が23日朝刊で1ページ全面を使って反論するなど、手記の信ぴょう性が問題になっている。
手記の中で「事件の指示役」と指摘された在日米国大使館の元職員の男性(54)も読売新聞の取材に「私にとっては全面的な捏造(ねつぞう)」と述べて、週刊新潮の報道姿勢を批判しており、発行元の新潮社の対応が注目される。
週刊新潮が2月5日号から4回にわたって連載した手記のうち、男性が登場するのは同12日号以降の3回。この中で、男性は在日米国大使館の職員だった1986年、島村氏と都内で会って「朝日を狙ってほしい」と依頼するなど数回接触し、島村氏は87年5月、阪神支局を襲撃したなどとした。また同19日号は、男性が今年1月、島村氏と会った時の写真や、島村氏が「時効になったから話できるけどさ」と話しかけ、男性が答える会話なども掲載した。
これに対し、男性は24日夜、読売新聞の面会取材に、〈1〉86〜87年は在福岡米国領事館に勤務しており、都内にはいなかった〈2〉米国大使館で働いていた数年前、島村氏の電話を初めて受けて借金を申し込まれたため、3万円を振り込んだだけで、今年1月、「金を返す」と言われて会うまで面会したことはない——と手記を否定した。
さらに連載開始前、週刊新潮の電話取材を受けた時も事件への関与を否定したとし、「私への取材結果のうち、島村氏の主張に沿わない部分は掲載されておらず悪質。週刊新潮には抗議文を提出しており、法的措置も考える」と語っている。
新潮社の加藤新総務部長は「週刊新潮が抗議を受けていることは承知しているが、現時点では編集部に対応を一任している」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090226-OYT1T01249.htm