島根県の八つの県立高校が、保護者向けに「授業料を滞納している生徒に卒業証書を渡さない」と通告していたことが二十七日、分かった。県教育委員会は「卒業証書を人質に取ったと思われても仕方なく不適切」とし、各校を厳重注意した。
県教委などによると、安来高校(安来市)は、毎月約十人の滞納があり、ことし一月に三年生の約百五十人全員に「期限までに全額納入がない場合、卒業証書をお渡しできません」との文書を配布。期限までに納入があり三月一日の卒業式では全員に卒業証書を授与する。昨年一月にも当時の三年生に同様の文書を配布していたという。
ほか七校は、二〇〇四年度以降、支払い能力があるのに滞納していた保護者計六十五人に、口頭や文書で通告。うち一校では〇六年度、一人に卒業式で証書を渡さず、後日に手渡したという。
今月上旬、安来高校の保護者から苦情を受けた外部団体から県に指摘があり、県教委が全四十四校を調査。二十六日、「未納を理由に授与しないという取り扱いはできない」と全校に通知した。
▽配慮に欠け不適切
溝口善兵衛島根県知事の話 文書を見たが、保護者の気持ちへの配慮に欠け、県の文書として不適切だ。今後は一層きめ細やかに個別の事情を考慮しながら、授業料の徴収や減免事務を進めたい。
▽気を使うべきだった
安来高校の栂瀬久男校長の話 確実に徴収するための方法だったが、文言に気を使うべきだった。