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2009年02月27日(金) 21時32分

正社員に広がる削減 再就職に条件の壁中国新聞

 派遣社員など非正規労働者を対象としてきた企業の人員削減は、業績悪化の加速に伴い正社員にまで広がってきた。政府は医療・介護などで雇用拡大を目指しているが、求められる高い技能や重労働などが壁になり再就職は進んでいない。

 米国景気の急激な後退などから特に輸出型製造業の不振が深刻で、正社員の削減に踏み切る企業が続出している。パイオニアは二〇一〇年三月までに国内外で正社員約六千人を削減。ソニーも国内外で約八千人の正社員を減らす方針だ。非鉄大手の三井金属も、国内で正社員を約五百五十人減らす。

 厚生労働省が二十七日発表した調査によると、昨年十月から三月までに職を失ったり、失う見通しの正社員は九千九百七十三人で一月の調査から52・8%増加した。

 これに対し、介護関連の一月の有効求人倍率は二・三四倍で人手不足の状況。政府は失職した人を対象に公共職業訓練を拡充、こうした分野への再就職を働き掛けている。

 しかし介護分野への転職は、労働条件の厳しさが障害となっている。同省によると、男性の福祉施設介護員の平均月給は約二十二万六千円で、全産業平均の約三十七万円を大きく下回る。昨年春に失業し、首都圏の自治体の臨時職員となった男性(38)は「介護は賃金が安く、仕事もきつい」と話す。

 一方、自治体も職員を募集し、雇用の下支えを目指す。ただ失業者は安定雇用を求めており、数少ない正職員募集に応募が殺到する一方、臨時職員は応募が集まらないケースが続出している。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200902270253.html