麻生太郎首相の外交日程がめじろ押しだ。二〇〇九年度予算案の二十七日の衆院通過で年度内成立が確実となり、首相サイドは「次は外交だ」と意気込む。背景には外交で内閣支持率を好転させ、自民党内の「麻生降ろし」の動きをけん制する思惑もありそうだ。
当面、最大の外交イベントは四月二日にロンドンで開かれる第二回金融サミット。これに合わせてオバマ米大統領、ロシアのメドベージェフ大統領との会談を模索する。
続いてパキスタン支援国会合を四月中に東京で開く方針。パキスタンの安定化はアフガニスタン情勢の鍵を握る。会合開催はオバマ大統領にも直接説明した「国際公約」だけに、首相としては国際的に評価される成果を挙げたい考えだ。
五月には「今年初め」の予定が延び延びになっていたロシアのプーチン首相が来日する見通し。二月十八日の日ロ首脳会談で合意した北方領土問題の「型にはまらない独創的な新たなアプローチ」による解決に向け、具体的な取り組みが焦点になる。
さらに早期の中国訪問にも意欲的で、七月にイタリアで開催される主要国首脳会議まで「外交の麻生」をアピールする戦略だ。官邸筋は「外交には首脳同士の信頼関係が重要で、日本のリーダーの頻繁な交代は国益を損なうとの雰囲気を醸し出したい」と期待する。だが「活発な外交が内閣支持率の上昇に直結する保証はない」(与党筋)との見方は少なくない。
政府内からは「諸外国は日本の流動的な政局を分かっており、なかなか踏み込んだ話はできない」(外務省幹部)との本音も漏れてくる。