両生類などに感染して死なせるラナウイルスによって昨年秋、国内の池でウシガエルが大量死していたことが27日、分かった。調査した麻布大の宇根有美准教授(獣医学)によると、このウイルスの感染確認は国内初。感染した両生類の治療法はないが、人間には感染しない。
英国や米国では、ラナウイルスによって両生類が大量死し、カエルツボカビと並んで両生類減少の原因とされている。
宇根准教授によると、大量死は昨年9月10日ごろから10月ごろ、人工池1カ所で見つかった。オタマジャクシから変態して成体になる途中のウシガエルが最大で1日数千匹死んでいた。死んだのは合計で1万匹以上とみられる。
死骸には、感染に特徴的な皮膚の出血や指先や水かきの欠損などがあり、細胞からラナウイルスが検出された。
この池には魚もいたが、発症したり死んだりした例はなかった。宇根准教授は、ほかの両生類が感染するかどうかなどを実験し調べている。
台湾で昨年、ウシガエルに感染した新種が報告され、今回見つかったウイルスの遺伝子は、台湾のウイルスとよく似ているという。