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2009年02月27日(金) 21時45分

状況証拠評価、「無罪」退け実刑 東京地裁で模擬裁判東京新聞

 大工の男が知人男性を暴行し死亡させたという設定で、直接証拠のない傷害致死事件を題材とする裁判員制度に向けた模擬裁判の判決で東京地裁(秋葉康弘裁判長)は27日、状況証拠を評価、懲役5年6月(求刑懲役8年)を言い渡した。

 被告の男は起訴状の内容を否認。弁護側は「被告と男性が一緒に行動していない時間帯があり、第三者による犯行の可能性がある」と無罪を主張したが、判決は「被告から被害者への暴行を打ち明けられたとする知人らの証言は信用できる」などと、有罪と認定した。

 東京地裁では最後の模擬裁判で、今後、これまでの内容を分析、5月以降の“本番”に備える。

 東京地裁では昨年7月以降、同じ題材で模擬裁判が計5回実施され、無罪判決が2回、懲役5年が1回、懲役6年が2回と判断が分かれていた。求刑はいずれも懲役8年だった。

 模擬裁判は27日が3日目。量刑の評議で無罪意見はなく、裁判官3人と裁判員役6人の計9人中、4人が懲役6年で多数派となったが、過半数には達しなかった。このため2番目に重く、裁判員役1人が主張していた「懲役5年6月」に4票を足して結論とした。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009022701000923.html