水俣病の未認定患者らでつくる「水俣病不知火患者会」による集団訴訟で、近畿支部の会員12人が27日、原因企業チッソ(東京)と国、熊本県に1人当たり850万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。熊本地裁で1500人以上が係争中だが、ほかの地裁で争われるのは初めて。
患者側は、2004年10月の最高裁判決後も、国が認定基準を見直していないことを批判。与党プロジェクトチームの救済策についても「被害者の切り捨てになる」として、司法による“全面解決”を求めている。
原告は、神奈川、愛知、滋賀、京都、大阪の各府県に住む40−70代の男女。熊本県水俣市や鹿児島県出水市など八代海(不知火海)沿岸で生まれ育った。
今回の原告で最年少の水俣市出身の会社員花草裕二さん(41)=愛知県=は提訴後の記者会見で「小学生のころからしびれなどの症状があったが、まさか自分が、と思った。僕の年代で訴えることで、過去に住んでいた人すべてに可能性があると知ってほしい」と話した。昨年末に水俣市の病院で水俣病と診断されたという。