27日午前5時35分ごろ、津市白山町上ノ村の近鉄大阪線東青山駅付近で、名張発伊勢中川行きの下り始発普通電車(2両編成)が脱線した。乗客9人、乗員2人にけがはなかった。
津南署などによると、現場は東青山駅ホームから約150メートル西の本線と引き込み線の分岐点付近。先頭車両がホームに入る手前で分岐点を通過する時に脱線し、車両の右前部が両線の間にある架線の鉄柱(高さ17メートル)に衝突して停止した。
近鉄によると、事故当時、分岐点には引き込み線と本線をつないで工事用の保線作業車を引き込み線から移動させる移線装置が取り付けてあった。車両は2両とも本線から引き込み線に入って脱線していることから、移線装置により誤って引き込み線側に誘導されたらしい。駅方向に向かって本線はまっすぐ、引き込み線は左側にそれるようになっている。
東青山駅には工事用の車両基地があり、現場付近では27日午前零時50分から始発前の同3時40分まで、電線の補修工事をしていた。工事が終わって作業車を引き込み線に戻した後、レールにかぶせてある移線装置を取り外すことになっているが、係員がその作業を忘れた可能性があるという。駅助役も始発前に装置を外してあるか調べることになっている。
近鉄大阪線は青山町(三重県伊賀市)−伊勢中川(同県松阪市)間の運転を見合わせており、両区間でバスによる代行輸送を行っている。午前11時までに約70本が運休し1万2千人に影響した。
同日午後にも国土交通省の運輸安全委員会の委員2人が調査に入る予定。
今回の現場近くでは1971(昭和46)年、旧総谷トンネルで、列車が衝突し、死者25人、負傷者288人を出した「青山トンネル事故」が起きている。
(中日新聞)