東アジア最大の米空軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)の周辺住民約5500人が国に損害賠償などを求めた「新嘉手納基地爆音訴訟」の控訴審判決が27日、福岡高裁那覇支部(河辺義典裁判長)であり、計約56億2000万円の支払いを命じた。将来分の賠償や夜間早朝の米軍機飛行差し止めの請求は退けた。米国への差し止め請求も認めなかった。
救済範囲はWECPNL(うるささ指数、W値)75以上の区域とし、那覇地裁沖縄支部の1審判決より広げた。控訴審期間中の被害分と合わせ、賠償総額は第3次厚木基地騒音訴訟控訴審判決(2006年7月)の約40億4000万円を上回り、航空機騒音訴訟で過去最高。健康被害との因果関係は認めなかった。
原告は2市2町1村のW値75−95区域の住民ら。05年2月の1審判決は、従来の騒音訴訟判決がほぼ賠償を認めてきた75と80の区域を「騒音は減少している」と判断。85以上の区域の生活被害だけを認定し、慰謝料など計約28億円の支払いを命じた。
結審後の将来分の被害賠償は認めず、国に対する飛行差し止め請求は「第三者(米軍)の行為差し止めを求める請求は失当だ」と棄却。米国への訴えは、日本の民事裁判権が及ばないことを理由に不適法と却下した。住民、国の双方が判決を不服として控訴した。