関西空港で2007年10月、エア・カナダのボーイング767が管制許可を得ないまま滑走路に進入したトラブルについて、運輸安全委員会は27日、カナダ機の副操縦士が管制官の待機指示を滑走路への進入許可と誤解したことが原因との報告書をまとめた。無線で副操縦士が誤った復唱をしたのに、管制官は指示通り待機すると信じ込んでいた。
報告によると、バンクーバーに向け離陸するため誘導路を移動中のカナダ機に、管制官は「Hold short of runway24L(滑走路24左の手前で待機せよ)」と連絡したが、カナダ機の副操縦士は「To position 24L(滑走路24左に入る)」と復唱した。
管制官は「To」がよく聞き取れなかったが、確認は求めず、同じ滑走路に向け降下中だった日航機に着陸許可を出した。カナダ機が滑走路に入るのに気付き、日航機に着陸やり直し(ゴーアラウンド)を命じたため、大事には至らなかった。
当時は日没後だったが、滑走路手前の停止位置を示す灯火は改修中で点灯していなかった。トラブル後、国土交通省は復唱による確認の徹底を全国の管制官に指示した。