麻生太郎首相は二十六日、二〇〇九年度予算案が二十七日に衆院を通過し年度内成立が確実になることを受け、定額給付金の財源を確保する〇八年度第二次補正予算関連法案の成立後の三月上旬、大規模な追加経済対策の策定を与党に指示する方針を固めた。関連法案は三月四日に成立する見通し。〇九年度予算案を審議する参院に配慮し、首相の立場でなく自民党総裁として指示する。首相周辺が明らかにした。
ただ内閣支持率の低迷を受けた政権延命策と受け取られかねず、自民党内で「麻生降ろし」が活発化する可能性もある。
首相は二十六日、記者団に「参院でも予算(審議)があり、政府で言うような段階ではない」と述べた。追加経済対策は事業規模で百兆円超、「真水」と呼ばれる財政支出は十五兆—二十兆円超を想定しており、四月二日の金融サミット開催前にも発表したい考えだ。
衆院予算委員会は二十七日に〇九年度予算案を与党の賛成多数で可決。同日午後の衆院本会議で関連法案とともに可決される。野党が抵抗しても、予算案は参院送付後三十日で自然成立する。
政府は追加経済対策を実現するため、〇九年度補正予算案の編成を検討。首相は給付金の支給開始などを受けた内閣支持率の動向も踏まえ、解散時期を判断する。
公明党は七月十二日投開票の東京都議選と衆院選の「ダブル選」回避を求めており、首相もできるだけ尊重する意向。自民党の笹川尭総務会長も二十六日、八月以降の衆院選が望ましいとの認識を示したが、九月の衆院議員任期満了が近づくと党総裁選の前倒し論が強まる可能性が高い。
一方、民主党は早期解散を誘導する狙いで〇九年度予算案と関連法案の二月中の衆院通過を容認。予算が成立すれば自民党内で「ポスト麻生」を模索する動きが広がるとみて、参院での首相問責決議案提出のタイミングを探る方針だ。