暴力団組員や総会屋が行政機関や企業に不当な要求をする行政・企業対象暴力への捜査で、警察が昨年1年間に前年より67件(20・1%)多い400件の事件を摘発したことが26日、警察庁のまとめで分かった。
昨年8月施行の改正暴力団対策法では、行政対象暴力に中止命令や禁止命令を出せるようになったが、適用は中止命令1件だけだった。警察庁は「行政機関とも協力して改正法を積極的に運用したい」としている。
まとめによると、生活保護費をめぐり、市役所の担当者への脅迫や暴行容疑で茨城では3月、愛媛では7月に組員らが逮捕された。電力設備会社を脅迫し道路工事の下請け参入を要求したとして大阪府警が7月、組幹部を逮捕する事件もあった。
改正暴対法は、対立抗争で服役した組員への出所祝いに対する禁止命令や、組員を相手取った損害賠償請求への妨害行為を阻止する防止命令も規定。それぞれ61件、3件で命令が出た。
一方、暴力団構成員・準構成員は約1600人減の約8万2600人、抗争事件は2件減の1件で、発砲事件は9件減の32件だった。