近畿大工学部の奥本泰久特任教授(67)が、「造船技術と生産システム」を出版した。業界で課題となっている技能伝承に役立てようと、27年間の造船マン生活で培ったノウハウと大学での研究成果を結集。経験に頼りがちな加工技術を理論的に分かりやすく解説している。
造船システムの歴史や鋼板の曲げ加工、溶接の自動化など10章で構成。鋼板の曲げ加工では、シミュレーション技術を使うひずみの解析で加熱の位置や範囲を効率よく把握し、自動化につなげる手法を紹介している。
奥本特任教授は旧石川島播磨重工業(現IHI)で船体の設計や生産技術に従事した。中国や韓国の追い上げに危機感を抱き「基本を習得して新技術に挑む糧にしてほしい」と日本の造船を担う若手にエールを送る。A5判、250ページ。4620円。
【写真説明】造船技術のノウハウを凝縮した新著について説明する奥本特任教授