障害者団体の定期刊行物に適用される郵便料金の割引制度を巡る郵便法違反事件で、大阪地検特捜部は26日、大阪市西区の広告会社「新生企業」(現・伸正)の社長・宇田敏代(53)、元役員・阿部徹(55)両容疑者を郵便法違反と法人税法違反の両容疑で逮捕した。
2人は、定期刊行物を発行したことがない障害者団体に制度の承認を受けさせ、新生企業が定期刊行物作り全般を担当していたことも判明。特捜部は、阿部容疑者が業務を統括し、同社が団体の名義を借りていたとみている。2人は容疑を認めているという。
特捜部は同日朝から、同社のほか、同社が提携していた大阪、兵庫両府県などの障害者団体を捜索した。
捜査関係者らによると、2人は2006〜08年、障害者団体発行の定期刊行物を、東証2部上場の印刷・通販会社「ウイルコ」(石川県白山市)の広告付きダイレクトメール(DM)約500万通に同封。「有償購読者数が8割以上」との条件を満たしていないのに、低料第3種郵便物制度を利用して1通8円で郵送し、正規料金(50グラムまで1通120円など)との差額計約6億5000万円を不正に免れた疑い。
新生企業は07年までの3年間に、所得を除外するなどの手口で法人税約8500万円を脱税した疑い。
新生企業と提携した複数の障害者団体は、同制度の承認を申請する以前に定期刊行物を発行した実績がなく、同社が用意した。その後、業務委託契約を結び、定期刊行物製作や発送など業務全般を新生企業が受け持つことで合意したという。
宇田容疑者は15の障害者団体と提携していたが、うち半数は実態がなかった。
調べに対し、同容疑者は「10年前からのぞみ援護会の名前で同様に制度を悪用していた」と話している。
2人は大阪市北区の39階建てマンションの高層階に同居していた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090226-OYT1T00385.htm