先天性筋ジストロフィーと自己免疫疾患の患者それぞれ1人から、さまざまな組織に成長する新型万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」をつくることに、京都大の中畑龍俊教授と山中伸弥教授らが26日までに成功した。
病気にかかわる骨格筋や、白血球などの血液細胞をiPS細胞からつくる研究も開始。生きた組織を使った病気の研究に役立つほか、将来的には薬の効き目を直接確かめる手法への応用も期待される。
中畑教授は「研究は初期段階だが、病気の進行を遅らせる治療につながるかもしれない」と話している。
3月5日から東京で開かれる日本再生医療学会で発表する。
チームは昨年6月から9月、京大病院で治療を受ける患者2人の同意を得て皮膚組織の提供を受けた。その後、ウイルスを使って3−4個の遺伝子を活性化させ、複数の種類のiPS細胞株を作製した。
それぞれのiPS細胞が病気に関係する遺伝子を持っているのも確かめた。今後は研究機関や製薬会社に提供することも検討する。