人の免疫システムを逃れるように変異したエイズウイルス(HIV)が世界中で広がっているとの調査結果を、熊本大などの国際研究チームがまとめ、英科学誌ネイチャー電子版に26日付で発表した。
ワクチン開発の在り方に影響を与える内容。
熊本大の滝口雅文教授は「変異ウイルスの存在は知られていたが、世界中で蓄積されていることがはっきりした。現在のワクチンは、かつて流行した古いウイルスを使っているが、新しいウイルスでワクチン開発を進めるべきだ」としている。
チームは、日本や英国、南アフリカなど8カ国、2800人余りの感染者を調査。免疫の働きにかかわるヒト白血球抗原(HLA)に注目して調べると、遺伝的に特定のタイプのHLAを持つ感染者の96%に変異ウイルスが見つかった。
そうしたHLAをもともと持たない患者の29%からも、変異ウイルスが発見された。人から人へ感染が繰り返される間に、変異ウイルスが広がったとみられるという。