厚生労働省は26日までに、全国の不妊治療施設に対し、受精卵取り違えなどの事故を防ぐため、複数の医師らが確認するダブルチェックの徹底や、倫理面などの検討をする委員会の設置を求める方針を決めた。
具体的には、治療費の公的助成の対象となる医療機関の指定要件に、それらの項目を追加。基準を満たさない施設の指定取り消しも想定する。
近く、全国約600の指定医療機関を対象に、体外受精の実施手順など安全管理態勢を尋ねるアンケートを実施。結果を基に、より詳細な追加要件を検討したうえで、4月にも要件を定めた指針を改正する。
公的助成は、厚労省指針に基づいて都道府県などが医療機関を指定し、そこで体外受精などを受けた患者に、治療費の一部を支給する制度。
現行指針には、採卵室など設備関連の基準と、責任者の資格など人員に関する基準しかなく、安全管理態勢は要件に含まれていない。
受精卵取り違え問題が明らかになった香川県立中央病院では、担当医が1人で作業していたうえ、日本産科婦人科学会の倫理規定に違反し複数の受精卵を患者に移植。親子関係の確認方法についての患者への説明など、事後対応にも問題があったことが判明している。