卒業式や入学式で君が代を起立斉唱しないのを理由に戒告処分したのは懲戒権の逸脱・乱用として、広島県の県立高校などの教諭と遺族ら男女計45人が、県教育委員会の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、広島地裁は26日、請求を棄却した。
判決理由で橋本良成裁判長は「国歌斉唱の際に起立する行為は社会的儀礼にとどまり、それについて職務命令を発したからといって内心の自由を侵害しない」と指摘。
さらに「命令に従わない行為は式典の進行を妨げ、生徒や参列者の信頼を失わせる」とした上で、「戒告は最も軽い懲戒処分で、裁量権の逸脱や乱用があったとは認められない」と判断した。
判決によると、教諭らは2001−04年、校長の職務命令に反し、君が代斉唱時に起立しなかったとして、戒告の懲戒処分を受けた。
公立学校での君が代斉唱をめぐっては07年、最高裁が東京都日野市の小学校入学式でピアノ伴奏を拒んで戒告された音楽教諭への職務命令を合憲と判断している。