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2009年02月26日(木) 00時19分

19歳女性失明の恐れ 銀座眼科、装置の点検一度もせず中国新聞

 東京都中央区の銀座眼科(溝口朝雄みぞぐち・ともお院長)でレーザー光線を使い近視を矯正するレーシック手術を受けた患者六十七人が角膜炎などの感染症を発症した問題で、区保健所は二十五日、二人が入院し、十九歳の女性は失明の恐れがある重症に陥っていることを明らかにした。

 保健所は医療器具の滅菌不足が原因と発表、二十三日から施設全体の使用を制限し、再発防止を指導した。

 溝口院長は二十五日、記者会見し「心からおわびする」と陳謝。日本眼科学会のガイドラインでは、レーシックを行うには眼科専門医に認定される必要があるが、溝口院長は専門医ではなく、医療器具の滅菌装置は二〇〇六年八月の開設から今年一月に交換するまで、一度も点検していなかったことを明らかにした。

 日本眼科学会常務理事の大鹿哲郎おおしか・てつろう筑波大教授はレーシックの感染症は通常、患者五千人に一人とし「国内では考えられない被害」としている。厚生労働省は同日、レーシックを行う医療施設に院内感染防止の徹底を指導するよう都道府県などに通達した。

 保健所によると、銀座眼科は昨年九月下旬から今年一月中旬まで、六百三十九人の患者がレーシックを受けたが、二月二十三日までに六十七人が感染性の角膜炎や結膜炎を発症していた。

 二月五日、保健所にほかの病院の医師から「銀座眼科でレーシックを受けた患者が通院している」との情報が入り、十八日に医療法に基づき立ち入り調査を実施した。

 二度目に立ち入り調査した二十日に手術室の使用を制限、二十三日の立ち入り調査で衛生管理が改善されるまで施設全体の使用を制限した。

 保健所は、眼球などを固定する器具の滅菌が不十分で、手術室に手洗い場がなかったことなどから、感染症が集団発生した可能性が高いとした。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200902260124.html