ヘロイン製造などに使われる化学物質「無水酢酸」のアフガニスタンへの密輸事件で、日本で調達した無水酢酸を韓国から昨年7月に密輸出しようとしたとして、韓国警察に逮捕されたアフガン人が「国際テロ組織アルカイダの組織員から依頼を受けた」と供述していたことが分かった。中日新聞の取材に、韓国警察当局者が明らかにした。
名古屋港で今月、2回にわたって無水酢酸が見つかった事件で、警察庁は関与したとみられるパキスタン人を国際手配する手続きを進めており、連携して情報収集にあたる。
韓国警察の捜査関係者によると、昨年7月の韓国での密輸事件は、アフガン人らのグループが、日本から輸入した無水酢酸12トンを自動車のエンジンオイルに見せ掛け、輸出しようとしたとして逮捕された。無水酢酸は韓国では生産されておらず、業者を通じて日本や米国から正規に許可を受けて輸入されたものを入手したという。
犯人グループとアルカイダを直接結び付ける資料はなかったが、押収されたファクスの中に「イラン経由でアフガン南部のニムローズ州に送る」という書類が見つかった。さらに、グループのアフガン人が「自分はアルカイダの組織員ではないが、組織員に依頼を受けて(無水酢酸を)買いに来た」と供述した。
韓国では別のグループが2007年4月から08年3月まで計5回、無水酢酸計50トンをパキスタンなどに密輸した事件も発覚している。
アフガン南部はアルカイダと関係の深いタリバンの拠点で、タリバンはヘロインを資金源としているという。
無水酢酸はヘロインの製造過程で使用される。
(中日新聞)